僕あての遺書が
残されていたことを
知った日。

第一印象は、頑固で無愛想な方だった。
でも、お年寄りの一人暮らし、何となく気懸かりだったからよく顔を出した。そのうちドリンク剤をちょくちょく購入してくれるようになり一年ほど経った頃、末期ガンを宣告されたと目の前で涙を流された。息子さんは遠く離れて暮らしているというので、せめて自分が役に立てばと、その日から足しげく通うように。
ある日、病気にいい薬はないか?と問われたのでアガリクス茸シリーズを紹介すると「買えばもっとお前に会えるか?」と言う。思わず商品を売りたくて来てるんじゃない! と声を荒げてしまった。営業員としては失格かもしれない。でも商売目当てと思われたくなかったのだ。
入院、一時退院と続き、やがて息子さんから亡くなったとの一報が…。後日、僕あての遺書があると手渡された。その中には「この年で新しい家族ができるとは思っていなかったけれど最高の息子ができた。本当にうれしかった」等、僕に向けた謝意が切々と記されていた。読んだ時の感銘は今でも忘れられない。胸がつまって、涙が止まらなかった。ぶっきらぼうだったお客様が考えられないほどの大きな信頼を寄せてくれる有難さ。仕事の成果には、数字だけではかれないものがある。この遺書がそうだ。これは僕の一生の宝物であり、営業員としていただけた最高の賛辞で勲章だと思っている。

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